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矢野直人さんVol.2
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なるべく使いやすく、いっそう美しく。
たくさんの人に、器を楽しんでもらえるように。

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矢野 直人さん

唐津焼

1976年 唐津市に生まれる
1994年 5年間アメリカ留学
2002年 佐賀県立有田窯業大学校卒業
2003年 佐賀県立有田窯業大学校嘱託講師
2004年 自宅・殿山窯(唐津市鎮西町名護屋)にて作陶始める


古い時代「李朝」の流れをくむ器たち。
実は、とてもモダンな雰囲気を持っているんです。

2014年10月に開催される「ギャラリー&カフェ 帝」での個展には、李朝の影響を強く受けた唐津焼きと、その中でもとくに僕がずっと取り組んできた“黒唐津”の新作を出展しています。

李朝というと古典的なイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、実はとても洗練された現代的な美しさを持っているんです。時代を超えて受け継がれてきた美しい造形を大切にしながら、近代的なシンプルな形にアレンジを加えることで、今っぽい?テイストに仕上げています。

伝統的な意匠の器も美しいですが、30~40代の方が使うには渋すぎてシーンに合わないこともあると思うんです。そこで、誰にでも使ってもらいやすい、シンプルなデザインのものを作りたい、そんな思いで生まれた器です。

特に器に詳しくはないけど興味があるっていう方や、料理や盛り付けに興味を持ち始めた人などに、日常的に使ってもらいたいと思っています。

使いやすいから、もっと使ってみたくなる。そして、もっとこだわりたくなる。

そんな風に、いろんな人に“器”を好きになってもらうきっかけになれたらうれしいです。


一日に作れる菊皿は、わずか3~4枚。
僕がこだわる「削り出し」技法、誰にもおすすめできない、時間のかかる技法です(笑)。



これまでも多くの方に喜んでいただいている菊皿は、押し型ではなく、一枚一枚削り出す、独特の技法で作っています。一枚一枚にとても時間がかかるので、実は一日に3~4枚しか作れないんです。

でも押し型でつくるよりも、花弁のラインがぐっとシャープになって、見た目の印象がまったく違ってくる。だから削り出すという方法にこだわって作っています。菊皿だけでなく、どの器も造形の美しさにはかなりこだわっています。

とにかく、野暮ったいものは絶対に作りたくない。その思いで自分の納得できるものを日々考えていますね。僕にとって「李朝」とは、伸びやかさや奥深さをあわせ持つ魅力的な世界。

例えば黒という色を一つ捉えてみても、いろいろな色合いと深みがある。そういった際限ない魅力と味わいを持つ、素晴らしい世界だと思うんです。

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〜唐津焼の大先輩からのコメント〜

「遊び心と探求心を持った、素敵な作家。私は『唐津焼の貴公子』と呼んでいます(笑)。」

岡本作礼さん

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矢野くんは、とにかく吸収力がすごい若手作家さんです。その才能は、彼のオープンで天真爛漫な性格によるところが大きいのではないでしょうか。

遊ぶときは、とことん遊ぶ…先日も海に潜っていたといって、ぐっと日焼けしていましたよ。わからないことがあれば、すぐに周りの人たちに素直に聞く。だからでしょうか、彼のつくる作品はおおらかで、健やかさにあふれているんです。

作陶をされていた矢野くんのお父様とはずっと親交がありましたが、ひょんなことから矢野くん自身とも知り合い、今ではとてもいい飲み仲間になっています。彼自身がモノづくりへのしっかりとした芯をもって焼き物に向き合っているので、年齢差もさほど感じないんです。

ぐんぐん成長していく姿と作品に、今後も大きく期待しています。

Shintaro.mediaより


唐津の矢野さんの仕事場へお邪魔してきました。

岡本作礼さんの言葉にあるとおり、おおらかな笑顔で迎えてくださいました。

個展用の器を、窯入れ前の乾燥させている状態とのことでしたが、これから釉薬がかかり、矢野さんが追求する黒がどこまで出るのか、私たちにはまったく想像できませんが、とても楽しみです。

一つ一つの造形の美しさにこだわり、手間がかかるからこそ表現できる目指すべく形、仕上がり。